クォリティーとトータルリードタイムを意識したコスト削減

当たり前のことを、また考えてしまいました。
韓国ネットゲーとか、PC基盤のアーケードゲームとか、そんなに悪くないプラットフォームで平気で2Dのゲームが出回ってますよね。最近、苦しくなって、「クォリティーを追及するのはもう無理!次世代はゲーム性重視!」なんて思うこと多々ありました。絵のきれいさなんて、行き着くところまでいきましたし、単純に暇つぶしだけできるようなゲームがいいのかなと...。
でも、据え置きコンソールではそれはないんだろうなと思うに至りました。インスタントな暇つぶしがしたい人は携帯ゲームですよね。逆に据え置きコンソールが生き残る道って、プレミアブランドというか、超高級志向なのかなと。なんだかんだ言いつつ、ネットゲームも据え置きコンソールでは先行きが不透明なので、結局、据え置きコンソールは、まさに「ゲーム機の中の小さな世界」しか表現できません。現世代機において規模の肥大化は行き着いているのは誰の目にも明らかなので、後は、密度、クォリティーを高めて行くしかないなと単純に思ったわけです。
しかし、あくまでその中で、下請けの製作会社は「手を抜く」方法を考えないといけない。いやむしろ「だからこそ」手を抜く方法を考えなければならない。「手を抜く」とは、いろいろあると思うのですが、やはり言いかえるならば「コスト削減」であろうと思います。さらに言うなら「時間の短縮」です。XPなりSCRUMなりの開発プロセスで、開発に関するコストはだいぶ減らせるなと思いつつある(減らせる方向性や、減らすコツなどが少しずつ見えてきたという意味であって、開発コストの削減が終わったわけではありません)のですが、今回CELL生産方式をかじってみてトータルリードタイム、つまり、パブリッシャーなどからの企画立案から、製作会社に回ってきて、工場に回って、流通するまでのトータルコストを考えなければならないと、改めて気づかされました。次世代は大手も何か開発プロセスのようなものを導入してくるのではないのでしょうか?僕らはさらにその一歩先を行かなければなりません。そのうちの一つに、このトータルリードタイムを意識したコスト削減があると思います。例えば、親受けや発注元と何度も仕事をして信頼関係を築くことで、親受けや発注元から我々に仕事が降りてくるまでのコストを減らせます。信頼関係が醸成されれば、親のほうからも「とりあえず、話だけでも持って行くか」と声がかかりますし、こちらも「まだお金は発生してないけど、軽く走っておくか」と契約が正式に決まっていない段階から、何らかの実験や試作ができます。これにより、時間が浮くわけです。浮いた時間を品質の向上に回せます。当たり前の話なんですが、それを意識することから始まるんだと思います。パブリッシャーとディベロッパーが心のそこから仲良く手をつないで、製品が消費者に渡るまで全体的な視野に立って協力したという話を、僕はいまだ聴いたことがありません。まだまだ眠っている、誰も気づいていないトータルリードタイムを意識したコスト削減の道があるはずです。それを考えて行きたいと思いました。